先輩の声

宇井政子さん

『百年後の日本に残しておきたいもの』という問いに笑福亭鶴瓶さんは『銭湯』と答え、黒柳徹子さんは『千代紙』と答えたそうです。その一節を読んだ時「私なら何?」と考えました。私の答えは『きもの』でした。
お宮参りから始まり、七五三・・成人式・・結婚式・・・大切な人生の節目において着物を着る機会がありますが、日常生活の中ではほとんど目にすることがありません。まず自装ができないから余計に着物との距離があいてしまうということなのでしょう。私もその一人でした。
「きものを学ぼう」と志したきっかけは娘の結婚式でした。鏡の中には人形のように何もできず、ただ立って着付けをしてもらっている私がいました。なんともいえない情けない姿でした。自分で着ることもできないのに着物好きといえるのだろうか?そう思いました。ちょうどそのときに挑戦していたある国家資格がありました。「合格したときの自分へのご褒美はきものを学ぶこと」そう決めました。
フルタイムの仕事を終えてからの夜間の授業、家庭との両立、甚大な被害のあった台風など、何度も途中挫折しそうになりましたが、いざ教室に行くことで学ぶことの楽しさなど日常では味わうことのできない心地よいひとときが待っていて最後まで私を支えてくれました。
私の学ぶ姿を身守ってくれていた家族は「いくつになってもやればできる。遅いということはないんだね」と言ってくれました。
私はこの学びを通して、お稽古事の本当の意味は人間味を高めること。そして昔から大切にされてきた日本文化やお作法の中に今更ながら納得させられる教訓がたくさんあり、人としてどう生きるかという根源的に大切なことがたくさんちりばめられていることを教えていただきました。
講師研修期間中の私はまだまだ力不足ではありますが、こうした思いを一人でも多くの人に伝えていけたらと思っています。
 

 

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着付け教室講師研修中

宇井政子さん

萩原きもの学院 卒業

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